その7

 だだっ広い。
 現在製造中でもあるホドの大地はそれはもう無駄に広い。
 その中を進んでいくと、ふとガイが足を止めた。
 どこかで見たことのある景色。崩れた屋敷跡。
 それは、ガイの家だった…
 あの暖炉、見覚えがある。マリィさんが最期にかばってくれた場所だ…

 そして、ティアも大切なことを思い出した。
 小さい頃、ヴァンが歌ってくれた子守唄こそが、七番目の譜歌だったってこと。
 ヴァンが子守唄……いや、なんでもないです。
 これでめでたく大譜歌完成。
 これはユリアが作った、ローレライに捧げる歌。
 だからこれを詠えば、ヴァンの中のローレライは目覚めるはず。
 そこにローレライの鍵を使えば目的達成だ。

 よっしゃ準備おっけー!


 ……意気揚々と進む頃、アッシュは戦ってた。
 敵もローレライの鍵を奪うため、必死だった。

 やっと総ての敵を倒したと思ったときには、アッシュも息が上がり、思わずよろめくほどに。
 ルークに呼びかけたとき、一瞬でも気を抜いてしまったのは、仕方がないんだろう。

 そのとき、一人まだ息があった兵士が起き上がって、アッシュの背中に向かって…
 それに続くように、次から次へとアッシュへ体当たりする兵士たち。

 その体を、何本もの剣が貫く。

 振り絞った力でアッシュは兵士を叩き斬り……

 「ちょっと…てこずったが……あとは……頼む…」

 つながっている状態だったから、ルークには見えた。

 「アッシュが死んだ…」

 思わず呟いた言葉に、愕然とするナタリア。
 その瞬間、足元に仕掛けられた罠が発動しても、ナタリアは動けない。

 このままじゃ、間に合わない。
 「アッシュ、力を貸してくれ!」
 そしてその瞬間、何かがルークに下りてきて…今までと違う力がルークの中から溢れ出し、罠を消滅させて助かった。

 アッシュが助けてくれた。
 ルークの中に舞い降りたアッシュの力がルークの力に重なって、第二超振動という力になったらしい。
 アクゼリュスを消滅させたときの力と似ているようで、でも確実に自分のものとして扱える力となって。

 だけど、そんな力はヴァン側にとっては邪魔でしかない。
 そこに現れたのは、シンク。
 預言のために生み出されたのに、失敗作として捨てられて。
 預言さえなければ、自分は生まれなかった。預言を呪い、預言をこの世から消し去ってくれるヴァンに加担して。
 自分は空っぽだと叫びながら消えていったシンク…
 アニスは、二度もイオンの死を見てしまったんだね…

 アッシュの死に茫然自失となったナタリアも、ジェイドに叱られて目を覚ました。
 普段どんなにつかみ所のない胡散臭いおっさんでも、こういうときは一番頼りになるジェイド。

 アッシュはルークに総てを託した。
 だから、絶対に勝つ。

 約束したのに。必ず生き残るって…
 アッシュ…
 泣きながらとぼとぼ進んでいくと、変な仕掛けが。
 光のなんとかと闇のなんとかをセットすればいいの?で、そのなんとかは、近くのゴーレムから取ればいいのね。
 て…その属性で倒すのめんどくさっ!!
 ルーク操作で微動だにせず、ガイとジェイドには隠れてもらって、ティアに光属性の技を使いまくってもらう。
 それでとれたけど、闇が…
 ジェイドの代わりにアニスを入れて、ティアと二人で闇属性攻撃…のはずなのに。
 術の他は封印して、術主体で攻撃しろって言ってんのに殴りに行くなよアニスー!!!
 二体とも殴り殺しやがったので、失敗。
 気を取り直して、もう一回。
 今度はアニス操作にしてブラッディハウリングだけかまして倒しました。

 で、これをどうするの?
 光のなんとかをセットすると…うおおおお部屋が傾いた!!
 ずざーと転げ落ちていくと、かつて壁だった場所に扉が。
 そこをくぐると、さっきとは違う角度で隣の部屋に入りました。
 ん?床にスイッチがあるよ?
 踏。

 ………元に戻りやがった。_| ̄|●|||

 もう一度光のなんとかをセットしなきゃ!と戻ったら、どうやら使い捨てだったらしい。
 むきーめんどくせー!!
 でもやらないとアイテムとか手に入らないから、しょーがなくやり直し。
 今度はそのスイッチを回避して無事に目的を果たしましたよ。

 めんどくせーことして行けるようになった場所に、ユリアのお墓がありました。
 魔装備もあったけど、周りには花がいっぱい。
 ヴァンが手入れしてるのかな。
 ………。
 ま、まあいいや。活花は本来は武士のたしなみだ。
 つか、妹に子守唄を歌って育てて料理上手でグリーンサムの持ち主で…超家庭的だヴァンにいさん。
 預言をなんとかしようとか思わなければ、小さな料理屋でも持ってティアと切り盛りしてたかもしれんな。定番はたまご丼定食。
 もちろん、エプロンじゃなくて割烹着な。

 そんな阿呆なことを考えつつ、この階段を上るとヴァンがいるようだ。
 でも割烹着は着てないなきっと。
 着てたらついてっちゃう多分。

 でもその前に、せっかくだからネビリム戦やってきまーす。
 あの部屋の前を通るたびに、涙が…
 ごめんアッシュ、すぐ戻ってくるから。

 とか言いつつ、バチカルに戻ってくるルークご一行様。
 そして闘技場に入り、エキジビジョンが怖くてまだやってなかった団体上級戦開始。
 たいへんではあったけど、フォニックシリーズ揃えたらなんとかなりました。
 レベルも73になってたしな。
 やっぱりナナリーって中途半端な戦闘能力…
 しかし、極光壁とか使ってこられるハードとかどうすりゃいいのよ…

 せっかくなので、個人戦も。
 まずは簡単なルーク、ガイ、ナタリアでいこう。
 かつてクレスにぼろ負けして以来、魔人剣の威力に目覚めました。
 よってちょっと強そうな敵は、ルークとガイはひたすら走り回って、魔人拳(剣)をちょこちょこと。
 で、隙あらば特技や奥義で。
 でもルークがなー。
 鋭招来のグラスチャンバーをつけて間もないから、HPがほとんど回復しない…
 なんとか持ちこたえて、料理で回復しなくちゃいけないのに失敗するしさ。

 ガイはね、集気法があるから楽なもんで。
 足も早いから攻撃避けるの楽だし。

 何気に楽なのはナタリア。
 元が遠距離攻撃の上、回復もある。
 そして何より、打たれ強い。
 そうだよなー、似たようなもの着てるのに、ティアと防御力200くらい違うもんなー。(Cコアのせいだ)
 細く見えてもその骨格と筋肉はラルゴ。

 あとはジェイドとティアとアニスだが…パス。
 アニスは接近戦のくせに回復ないし遅いから避けられないし、大変なのは目に見えてる。
 ジェイドはまあいいかもしれんが、術使いは基本的に操作苦手なのだ。
 てなわけで、放置。

 でもまあ、三人の称号と最強装備とってきましたよ。
 これでネビリム戦いくさ。
 …と思ったのだが、ネビリムの岩ってどこよー!!
 吹雪に突入して探してるうちにすぐに吹雪の外に出ちゃって、また助走をつけなおす。
 じゃあ自分の足で探すよ。
 と思ったが、全然見つからない!
 うわーんぐずぐずしてたらアッシュがたいへんなことに…!(;´Д⊂)

 …そして延々歩き回って、気がついた。
 もう一段上に、歩き回れる場所があることに。
 そこに上ってみると…やっとあったよ変な岩!!

 ほへー。
 いい加減歩きつかれたから、ごはんでも食って入ろう。
 ナタリアお手製のギャンブルシチューは、なんと成功しました。
 腹もくちくなったので奥に行くと、譜陣があるよ。
 これは…元からあるものに、封印を重ねてある?
 なんだろう。

 そのとき、高笑いしながら現れたのは…
 サフィール!!
 生きてたんかおまえ!!
 驚くより何より、嬉しかった。
 だって六神将たち、皆死んじゃったんだもん…
 空の彼方で爆発しても気絶するだけで助かるゴキブリ生命に乾杯!!

 この譜陣に集めてきた装備品を並べりゃいいの?
 まあとにかくやってみるか。
 これでネビリム先生が復活する!と喜ぶサフィール。
 どうやら惑星譜術の譜陣の上に先生復活の仕掛けがなされてた?
 でも先生って確か…
 譜陣の封印は解かれ、前方の岩が割れる。

 先生に聞いてもらいたいことが…!
 と、子供に戻ったように駆け寄る(椅子に座ったまま)サフィールかわいいなおまえ。

 あれ?なんかいやな感じ…
 ぎゃー伏せろー!!

 岩の割れ目から迸った光線に、サフィールは吹き飛ばされて…
 うわー!!
 そして皆の前に現れたのは、やたらセクシーなネビリム先生でした。
 何この女教師という肩書きがエロく感じるドSなねえさんは!!

 かつてジェイドが作ってしまったレプリカのネビリム先生は、凶暴性の塊。
 このままでは前に全滅した一個中隊みたいな事件がもっと続いてくから、倒さなくちゃ!そんな事件忘れてたけど。

 ぎょえーつよー!!!
 戦闘メンバーは、ガイ、ジェイド、ナタリア、ティア。
 すまんなルーク。今回は応援しててくれ。
 俊足ガイでとにかく走りまわり、術のターゲットを引き付けては発動する瞬間に回避していく戦法。
 ナタリアとティアは回復の他は使用禁止にして、回復専念。ジェイドにはいつもどおり戦っていただきます。
 生徒が生徒なら、師匠も師匠です。
 それでもなんとか、勝ちました。ぜえぜえ。

 そして倒れてるサフィールに駆け寄ると…
 「痛いよ…蹴らないで…ジェイド…」
 またすてきな夢見てやがりました。
 ゴキサフィ最高!!!

 報告のためにピオニー陛下のところへ行くと、ジェイドがネビリム先生について話してくれました。
 子供の頃の実験に失敗して、ネビリム先生に瀕死の重傷を負わせてしまったジェイドは、前に人形で成功したことのあるフォミクリーで先生のレプリカを作ればいいんだと考えた。
 でもそこに機材はないから、譜術でやることに。
 そして見事に成功したように見えたけど…それは先生の姿はしてたけど、中身は別物でした。どっちにしろ、レプリカは本物とは別人なのだが。
 ジェイドはネビリム先生を殺そうとしたけど逃げられたんだそうだ。

 それにしても…子ジェイドのなんたるかわいさよ!!
 すげークソ生意気な口の利き方!まさかこんな胡散臭いおっさんになるとは思えない、無表情っぷり。

 サフィールは…見事な下僕っぷりだな。
 何その貧相なおかっぱ!!w

 報告を終えてお城を出ると、追いかけてきたサフィールと出くわしました。
 なんで置いてったの!て…いつものことじゃん。
 しかもあっさりジェイドによって逮捕されて、裏切り者とかいじけてんじゃないよおまえ!

 そのあと、逮捕されたサフィールにアッシュのことを話すジェイド。
 何その大爆発って。
 文字通りだったらどうしよう!怖いから、あとで用語辞典でも調べよう。
 しかし、金の貴公子ジェイドか…
 勝手にそんな二つ名をつけて呼んでるサフィール、本当にジェイド信者なのだな。w
 気色悪いとかいってないで、称号につけようよ、金の貴公子。
 で、すごい衣装でも着ようよねえジェイド。
 アッシュが土に還る前に、エルドラントに戻りました。

 この前に引き返した階段を上ると、じっと端座して待っていたヴァン。
 残念ながら割烹着は着てなかった。

 ルークは今までずっとヴァンに認めてもらいたくてがんばってた。
 それが今やっと、「人間」として認めてもらえた。
 でも今は、それだけが目標じゃない。
 未来は自分たちで選べると信じてるから、戦うよ。
 アッシュも力を貸してくれるんだから。

 最後の最後に、きちっと話すことが出来た。
 互いの信念が譲り合えないこともわかった。
 だから今度こそ、最後にしよう。
 さすがに今回は、ルークとティアは戦闘メンバーに入れたげる。
 ルーク、ティア、ガイ、ジェイドで行くぜ!

 隙あらば大譜歌を詠ってローレライを解放しようとするけど、なかなかそうはいかない。
 でも…ネビリム戦の直後だけに、ヴァン弱っ!w
 なんかあっという間に片付いていくよ?

 ルークたちの力に圧倒され、途中でローレライの力を解放するヴァン。
 その力の制御によって隙を生んでしまうとわかっていても、その力を使わざるを得なくなった。
 そこまで認めてもらったんだよ、ルーク。

 ローレライの力はすごいけど、総ての力を無力化できる第二超振動があれば、なんとかなる。
 ティアが詠ってルークが力を使えばいける!
 て、二人を戦闘メンバーに入れないとどうなってたんだろうなあ…

 そしてついに、七番目の譜歌まで詠うティア。
 おー…いい歌だなあ…なんて聞き入ってないで、やらなくちゃ!
 レイディアントハウル!
 …なんだ、別の技でも出るのかと思った。

 ヴァンは、ついに斃れたよ。
 ティアが七番目の譜歌を理解できたことを喜びながら…
 二人ともこんなに互いを大切に思ってたのに、ちょっと進もうとする道が違っただけでこんな悲しいことになるなんて。

 さあ、あとは鍵を使ってローレライを開放するだけだ。
 エルドラントは崩れ始めてる。皆は先に行っててと言うルーク。
 自分のやるべきことを、今はしっかりと見つめられるから。
 例えその結果、消えることになろうとも。

 ジェイドはそれを痛いほどわかってる。
 でも敢えて、生きて帰ってこいと言ってくれた。
 「そう望みます。」
 って、ルークがちゃんと利き手で握れるように、左手を差し出してくれた。

 ガイは、ルークがどうなるかを勘付いていた。
 だから、心の友兼使用人として待っててくれるって。
 肩をばしっと叩かれて。このまま消えるなんて許さないって。

 アニスもちょっとだけ気づいてたらしい。
 ルークの胸…には届かないので腹に飛び込んで。実は胸より腹の方が生なのでベストポジションなのだが。
 教団建て直しのパトロンになってもらうために生き延びてね、ってアニスらしく精一杯の願いをこめて。

 ナタリアは、ルークが消えるって知らなかったとは思うけど。アッシュを失った後だから。
 これ以上、大切な人を失いたくないって。でもそれは誰のためでもない、ルークのために。
 あなたがあなたの人生を生きるため、消えるなと。

 ミュウは画面に入らないので、足元から必死こいてジャンプしながら一所懸命話してくれた。
 ミュウウィング使えば?とか思いながら。

 ティア…愛する兄も尊敬する教官も失った上に、ルークまで失おうとしてるけど、帰ってくると信じてるから泣かない。
 必ず、必ずよ。待ってるから。ずっと。
 ずっと…
 きっと消えるけど、でも帰ってくる。そう願って約束をしよう。
 そして背中を向けたティアは、ルークには届かない声で。
 「…好き…」


 大切な仲間たちを避難させ、あとはアッシュから託された役目を遂げるだけ。
 地面にローレライの鍵を突き立てると、眩い光が立ち上っていく。

 崩れ落ちるエルドラントの中、光に包まれたルークはゆっくりと落ちていく。
 そして瓦礫とともに落ちてきたのは…アッシュの骸。
 瓦礫を弾いていた光はアッシュを受け入れ、ルークはそっと受け止めた。

 やがて周りのものがどんどん光の中に消えていき、そしてついに…
 遥か彼方にホドが見えるタタル渓谷の花畑に、ティアの譜歌が響いてた。
 その後ろには、皆がいる。
 あれ?ミュウは?いないのか…

 今日は、ルークの成人の儀があるらしい。
 でも…それはルークのお墓の前で行われることだから、例え招かれてても行く気はない。
 だから皆、ここに来た。
 ガイもナタリアもジェイドもアニスも。

 あれから2年が経ったのか。
 ティアは19歳。
 まだ神託の盾にいるのか、教団兵の服を着てる。少し大人になって、化粧をするようになった。

 ガイ24歳。
 女性恐怖症は治ってきた?
 マルクトでのブウサギ飼育貴族生活は慣れたかな。

 ナタリア21歳。
 活発な中にも優雅な王女様になってきたね。
 でも…

 アニス16歳。
 ローレライ教団復興計画は進んでる?
 全然変わってない…。ちゃんと毎日牛乳3リットル飲んでる?

 ジェイド38歳…
 て、38!?(゜д゜ノ)ノ
 なんじゃその若さは!!
 あれ?瞳の色が…茶色い?そうか、譜眼から戻したんだね。

 それぞれ想いを馳せ、いい加減遅くなってきたから帰ろうかということに。
 立ち去ろうとしたティアは、花畑の向こうに何かを見た気がした。
 …?
 振り返ってよく見ると…

 ルーク!?
 いや、アッシュ?

 「ここからなら…ホドを見渡せる。それに…約束してたからな…。」

 その喋り方はアッシュのようだけど、どこか違う。
 ルークでもありアッシュでもある、"ルーク"になったのか。
 本来ならばアッシュの肉体にルークの記憶だけが宿るはずなのだが。それとも少し違うようだ。
 その心は誰?二人の心は別のものだったんだけど…
 それがひとつになったってことは、これから誰として生きてくんだろう。
 うわーわかんねー!!

 でもこのとき初めて、ティアの頬を涙が伝ったよ。



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